子供の頃、夏休みの自由研究で「うちわ」を作ろうと思ったんですね。東急ハンズのキットとかじゃなくて、全部イチから作ろうと思って。
うちわなんて夏になると皆持ってるし、お店でもくれることあるし、大したことないわ、作れる作れるって思って、もう紙から作ろうと。
牛乳パックで紙を作るみたいな番組をNHKで観たんだと思います、真っ白じゃ面白くないので葉っぱなんかも入れようと庭から拾ってきて挟んで、窓にはって乾かしたりなんかして。
で、作った紙と、竹串とか持ち手の棒とか、削ったりくっつけたりして、うちわ様のものを完成させたわけですよ。
二振りで折れましたよね。
自分で苦労して作ったうちわはさぞかし涼やかな風を吹かしてくれるだろうと思いきや、二振り目で折れました。今考えると一振りもったことが奇跡な出来なんですけど。
オオ、と思いましてね、うちわなんて、ありふれたつまらないものだと思いきや、世間に出回ってるのは相当考えられて作られてるなと。いくらあおいでも折れないわけですから。
大変感心いたしまして、以降、ひとの作ったものというのは何でも感心いたしますし、ひとの作ってないものというのも世の中あまりないですから、生きてるだけで日々感心しきりです。
ちなみにうちわは、その形を作れたこと自体が嬉しかったですし、いそいそと学校に持ってって他の子の自由研究とともに後ろの棚に並べてた記憶です。
「あおげないうちわ」というミステリアスな代物でしたが、何にでもアタックしてみるというのは大事だな、と思わせてくれましたし、また、「もう少しガチればいけるんじゃないか」とも思わせてくれました。作ってよかったです。
秋を迎える頃に捨てたと思います。