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円茂竹縄ブログ

すべては忘却の彼方なれど

夜明けの駄文。

先日とあるツイートで「涙腺に触れる」という、慣用句の間違いをイジったものがあってですね。涙腺に触れるのは逆さまつ毛のときぐらいだと思うので、まぁそんな慣用句はないと。

そのケースは、前後の文脈から正しくは「逆鱗に触れる」だろうと思われたんですが、合わせて「『琴線に触れる』も誤用がよくある」的なことが書かれていて、逆鱗と琴線はそら違うよ、なんでいきなり琴線が出てきたや? って思ってたらどうも最近こういうことがあるようですね。

インターネットで「琴線」という言葉を検索すると,「怒りの琴線に触れる。」という表現が多く見つかります。しかし,これは,本来の「琴線に触れる」の用法とは違っています。

文化庁 | 文化庁月報 | 連載 「言葉のQ&A」

 もちろん、琴線は感動した的な文脈で使われるはずだし、逆鱗は怒りの文脈であるはずです。

 

で、私がなんで無事覚えてたかって話です。「逆鱗ってほら、龍のウロコが一つ逆さについてるんだよ。たしかアゴのあたりにあって、それ触ると龍が激昂してさ…」と、忘却力もかなり高い私ですが、ここまでつるつる言える、一応。なぜか。

もしかしたらこれで読んだんじゃないかと思ったんですよね。

まんがで学習 ことわざ事典 (1)

まんがで学習 ことわざ事典 (1)

 

“逆鱗”がこれに収録されてたかどうか定かでないんですが(似た別のシリーズだったかも) 、私これ小さい頃大好きでずっと読んでたんですよ。いまだに新刊書籍として購入できるようで、もうロングセラー中のロングセラーなんじゃないでしょうか。

これを読んでたおかげで、ビジュアル的に覚えてて、ウロコの位置まで言えるんではないのかと。

 

私その、右にベタベタ貼ってるように実用書のコミカライズなどをしておりまして、その仕事ってのもわりと気に入ってるわけです。なんとか皆さんの学習の助けになれば、取っかかりになれば、という思いは常にあってですね。好きでやってるとこある。

この思いもすべて、『まんがで学習 ことわざ事典』の読書体験から来てるんじゃないかと。

 

以前も書いたかもしれませんけど、このビジネスコミックとかね、当然出版社さんは大人向けに出してるんです。が、それとは別に、私が内心ひそかに期待してるのは「子供が手にとってくれること」だったりしますね。「マンガだから」って。

完全な理解じゃなくてもいいんですよ、なんとなく絵図が頭に残って~とかいう程度でいいんですけど。いずれそれが活きる日も来るんじゃないかって、そういうことを期待している。ベッタリ強固に貼りついたテープでも剥がし口があるとだいぶ違うと思うんで、まぁそういう剥がし口にでもなるといいなと。

 

もちろん(大抵は監修の先生方の詳しい解説文があるんで、それ含めて)完全に理解する子もいるでしょう。…そういうとこね、大人が思うより子供って賢いと思うんですよね。先日書き散らかしたドリームワークスアニメは、CEOのジェフリー・カッツェンバーグが

「ディズニーは子供と、大人の中にある子供心に向けて映画を作るが、ドリームワークスは大人と、子供の中にある大人心に向けて映画を作る」

ドリームワークス・アニメーション - Wikipedia

 などと言っているようで、それそれ。共感しますね、だから好きなんだよ、ってのは話それすぎですね。

 

『~ことわざ事典』の吉田ゆたか先生 については、検索したらこのような記事をみつけました。

吉田さんは、4コマ漫画によるコトワザ漫画を子供向けに初めて本にした方です。〈略〉現在では、子供向けにたくさんの種類の「コトワザ本」がでていますが、これを読むと、吉田さんの仕事の先駆性がよくおわかりになると思います。

全面教育学とは何か

 吉田先生がさきがけだったんですね! 画期的な本読んでたんだなあ…。

しかし、この全5巻の完結後、病気がわかってお亡くなりになってしまったようです。随分夢中になって読みふけっていたにも関わらず、この齢で検索するまで存じ上げませんでした。

 先に書いたように、ことわざや慣用句は私、そう間違った使い方せずにすんでる、由来もある程度わかってる自負があるんですが、日々怒涛のように流れる情報のなか、編み目のでっかいザル頭にそれでも残っているのは、吉田先生のお仕事の偉大さなんだと思います。