画像は例によってpixivSketchから。ブログのアイキャッチ的な画像描くのめんどいと思ってたけど、なんかあそこなら描く気になる。
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明らかに間違った描写をしたりしたときは修正がもちろん発生するわけで、それは避けて通れないんですけれど、なかには微妙なニュアンスを要求されることも。よくあるのは「女の子をかわいく」というものです。
「かわいく」ってなんだ、黒目大きくとか? 頬をふくらませるとか、赤みをつけたり? と、できるだけ具体的に修正事項として落としてくれ、とお願いすることがよくある。すごい理解ある人は直接アカで線引いて指示くれるんですけど、それが期待できないとわりと困る。
…そもそもね、そんな「かわいい」ことに興味がないんですよ。どちらかというと覇気たぎるクソ野郎やクソ女に興味がある方だし、それは描くのも燃えるし、だいたいブサイクもスネ毛も道端のゴミも私はアートだと思ってますよ、ええ。と、いうゴリ押しをしても仕方ないので普通に努力はするんですけれども。
いわゆる“癒し系”的なものを求められるのが本来すごい苦手です。キャラ配置のバリエーションとしてならともかく。
が、その常識(?)を覆すような修正要望が近年ありました。
とある出版社で、担当さんが出席した会議に社長さんがいらっしゃって、たまたま会議で私のイラストラフを見たらしく、社長さんから直々にその場で修正要望を出されたと。
そのラフ自体は担当さんから「こんな感じですかね…」と案を出されて、私の方でも強くイメージが浮かばなかったのでその通りに描いて、まぁ修正は当然出るだろうな、というスタンスでいたのです。
社長直々に、というのもレアケースらしく、私ももちろん今まで経験なかったので、さて、どんなこと言われるのかな、と電話口で身構えた。
…普通ならね、流行に寄せたいと思ったら、それこそpixivあたりから人気絵師さんのアレでもひっぱってきて「こういう感じで」とか言いそうなものです(ちなみにそれ言われると「イヤ、ではその人に頼んでは…」ってなるんですけどw)。その方は違った。
とある青年漫画誌を挙げて「あれの表紙になる女の子みたいな感じで」と仰ったらしい。
他社の漫画誌です。
社長、わかってる!!
私もともと青年誌育ちで、少女誌・少年誌を結構な勢いですっ飛ばして青年誌を読んできた子なんですが、おそらくラフ一枚見ただけでそのことを、私の嗜好を見抜いた。もちろん社長にそれまで私のアレなんか見てもらったことないし面識も一切ない。にも関わらず、これ以上ない的確な指示です。
それならノれる。ガンノリできる。
社長の一言を聞いたとたん、たちどころに脳内麻薬が溢れでてイメージが次々浮かび、4~5パターン描きあげてPDFを担当さんのメールアドレスにブチ込みましたよね。あれほどノリにノッた修正はないです。むしろここまで理解されて漫画屋冥利につきるとすら。
修正というのは挑戦でもありますんでね。結果、要望が実現できてるかは他者の判断なので、自分では「頑張った」としか言いようがないんですが、すごい嬉しい挑戦をさせてもらえた。
社長さんすごいのはさ、ざっくり、自分の会社のスタイルってものがあると思うんですよ。例にあげるにしても、pixivはともかく、普通自分とこの出版物あげそうなものです。ブランドとしてもやっぱり寄せた方がいいように思われる。
けど、そこんとこ無視…無視はしてないんだ、最大限寄せて、かつ私が理解できそうな位置感として、他社の漫画誌を会議の場であげてくれたってのが視野広いし懐深いなぁと。
あとから別の方に伺ったんですが、その社長さん、ラノベレーベルを立ち上げて大成長させた方らしいですね。イヤ、プロジェクトを成功させる人、社長にまでなる人というのは違うんだな、と。これはついていきます、と、無駄に社長に忠誠心まで芽生えてますからね。社長さんにしてみたら絶対覚えてないけどw