投下してみる。初歩的な内容かつ我流ですが、私も当初疑問だったので…。同人誌始めた人とかへ。
ClipStudioPaintでCMYKの数値がズレる
要望・不具合ボードで見出しのような質問を見かけました。複雑なことは省きますが、これは仕様なので、しょうがないです。サポートの回答のとおりです。
CLIP STUDIO PAINTはRGBカラーモードでのみ編集可能なソフトであるため、 CMYKのカラースライダーにて%を指定する際はその値をRGB値に変換をしており また、スポイトで色を取得した際のCMYKのカラースライダー表示も取得したRGB値 をCMYK値に変換して行いますので、値が同じとはなりません。
入稿先などの指定で正確なCMYKの数値を指定する必要がある場合には、 カラーモードとしてのCMYK機能が搭載されているソフトをご使用頂くのが よろしいかと存じます。
「カラーモードとしてのCMYK機能が搭載されているソフト」とはPhotoshopやIllustratorです(Photoshop Elementsは対応してなかったと思います)。
それでもClipStudioPaintを使う理由
質問者さんのように最初からきっちりカラーマネジメントしなくてはいけないときにClipStudioPaintは使えませんが、漫画などのように相対的な着色でいい場合には、私は充分だと思います。
もちろんPhotoshopで着色する方もいらっしゃいますが、特に複数ページのカラー漫画原稿では、さすがにイラスト/コミック専用ソフトのほうが、欲しい機能がわかりやすく搭載されていて作業が早いと感じています。
印刷用カラー原稿の作り方
ClipStudioPaintも、書出しはCMYKでできますので、そのように書出し、最終的な色調整はPhotoshopで行っています。
下の画像はキャプチャなので見た目の色が荒れてますが…、
左はClipStudioPaintファイル、右はCMYKで書出したPhotoshopファイルです。
CMYKスライダーは左人物の明るい肌色をスポイトしています。CMYKの数値が同じなのがわかるでしょうか? こんなふうに、書出しそのものはうまくいっています。
ここから印刷用原稿にするために「余計な色を抜いて」いきます。
基本的にカラー印刷は、複雑にインクを混ぜないほうが色が鮮やかに出ます。ClipStudioPaintでCMYK書出ししたそのままだと、大抵くすんだ仕上がりになってしまうと思います。
余計な色を抜く
「複雑にインクを混ぜない」とは、CMYKのうち3つも4つも色を混ぜないというか…。私は単純な着色しかしないので、きれいに見せたいときは混色は2つまでとしています。
たとえば上記画像の場合だとC(シアン)が余計です。基本的に肌色は、シアンが1%でも混ざると印刷仕上がりがかなり濁ってみえます。影部分の肌色なら多少はOKですが、意図がなければ抜いたほうがきれいだと思います。
「シアン抜き」で検索すると手順がいくつか出てきますが、私のやり方は
- 色域選択などで該当色を選択
- イメージ>色調補正>チャンネルミキサー で、シアンを-200%にしてOK
手順をアクションにして登録しておくと便利です。シアン抜きは特によく使うのでショートカット登録もしています。そもそも肌色は着色時にレイヤーを独立させておくと便利です。
とにかくこれでシアンが0%になると(左)↓。キャプチャなんでまた見た目濁ってますけど。右は影部分の肌色までシアン抜きしたものです。だいぶ血色よくなりましたね。
同じやり方でM(マゼンタ)もY(イエロー)もK(黒)も調整します。下の画像では、黄緑部分のマゼンタが中途半端なので抜きました。
こんな感じでどんどん処理していきます。大変そうですが、まぁ慣れればそうでもない…かな…。処理多そうな人はアクションやショートカット登録しておいたほうがいいです、まじで。原稿上がりにやるのは一手間なので。
で、最終的にどうなるか。色調整前が左、調整後が右です。
正確には、CMYKのファイルをWeb掲載用にRGBへ変換したものですが、まあ、色の濁りが取れているのがわかるのではないでしょうか。もしかしたら右はギラギラしすぎに見えるかもしれませんが(私の選色のせいもありますw)、印刷用原稿ですと、モニタで見るのと印刷仕上がりはわりと違うということを覚えておくといいと思います。
本当は一回失敗するとよくわかりますorz
余談
冒頭に書いた「最初からきっちりカラーマネジメントしなくてはいけない場合」というのは、たとえば企業さんのコーポレートカラーなどですね。活動範囲柄、まれに扱うことがあるのですが、あれはCMYKの各数値がビッチリ決まっています。1%たりとも動かしてはならないので大変慎重になります。
また、そもそも○%って何? って話ですが、これはインクの量です。印刷の際、トンボの外にこんな感じのが参考にプリントされるんですが、これがそれぞれ100%です。
それぞれどのくらいの分量で配合するか、というのがCMYKの各数値の意味、なはずです。
で、この制限がもっとも厳しいのが、私のやった限りでは新聞媒体への入稿です。「インク総量300%まで」などと新聞社によって決まっていて、理由はもちろん「新聞紙は薄いから」ですね。配達の都合などあります。裏うつりなどするといけないので絶対に守らなくてはいけない。
そんな中でフルカラー広告などは、デザイナーさんやDTPさんでしょうかね、雑誌など他の媒体に載ってる同じデザインでも、できるだけ見栄えのよいように調整する、といった作業があるはずです。”新聞””広告””入稿”などで検索すると各社のガイドがヒットしますので、見てみるとおもしろいです。
そんな感じで、色とか印刷とかは突き詰めてくとキリがないんですけれど、日本の印刷物の品質はとても高いので、意識して見ると興味深いと思います。