喫茶店の大テーブルに座ってたら近くに座ってたおばあちゃんが
「アラ、あなた爪きれいにして??」
と話しかけてきた。
「ええ、駅ビルの爪の店(“ネイルサロン”が通じないと思った)でしてもらって、そこけっこうご年配もいらっしゃるんですよ。おかあさんもいかがですか」
と勧めたところ、
「縁がないのよう~」
と。おそらく、そうした美容のことには自分は疎いんだ、と仰りたかったんだと思う。縁がない、と振る手をみたら、なんの、指先がやわらかそうで血色もよくてきれいだったので、思わずその指先を手にとって、
「おかあさんもおきれいですよすごく」
と褒めたら、
「イヤイヤ縁がないのよう~」
と、くりかえすので、
「そんなことないですよ、おきれいですよ」
「縁がないのよう~」
と、同じ内容のやりとりを何セットかくりかえして別れた。