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円茂竹縄ブログ

パンデミック下の漫画表現

近代セールス様、月に1~2回ちょこっと描かせていただいてます! よろしくお願いいたします。

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で、現在発売されております7月15日号。「(金融機関が)税理士との信頼関係をいかに築くか? こんな提案をしてみよう!」的な内容を担当したのですが、ちょっと自分でやってておもしろかったのでエントリにしてみます。ほんのりテクニカルな話になります。

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まず前提として、ご時世で登場人物全員にマスクをさせなくてはいけないんですね。しかも教科書的な位置付けなので、演出でもマスクをつけたり外したりといったことを、できればしたくないわけですよ。

マスクをしていると、ほとんど目元しか描けませんで、表情がかなり制限されます。たとえば、口元は笑みを浮かべているけれど目は笑ってないぞとか、繊細な表現がしにくくなるんですね。

それを踏まえて、こちらの場面。左が営業さん、右が税理士さんです。

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近代セールス2021年7月15日号より

「営業さんの第一提案をうけて、税理士さんが社交辞令的に『わかりました、覚えておきますね』と返事しているシーン」です。税理士さんは応対しつつもまだ心を開いていない状態です。

さて、これどう描くかな~と考えた末に、ボディランゲージであるな、と。

この一個前のコマでは、税理士さんが大きく身体を反らす様子を入れ、その流れで、背もたれに身体をあずけたまま返事しています(……と、いうふうに描いたつもりなので、そう見てください( •.̫"• )。アゴも少し上がり気味です。「ふ~ん…?」みたいなニュアンスを込めました。

営業さんが、第二・第三の提案をするにつれて、税理士さんも「それなら協力しようかな」と考えが変わるわけですが、しだいに姿勢が前のめりになり、最終コマでは、ほぼ同じ構図を下のように描いています。

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近代セールス2021年7月15日号より

完全にニコニコして前のめりにおじぎしています。背景も円満感満載で。話がまとまって本当によかったですね。

以上、マスクで表情が削られるぶん、ボディランゲージで心の動きをサポートしてみました、というお話でした。

パンデミックにおける作画表現のポイントとしていかがでしょうか…とかいって、めちゃくちゃピンポイントにしか使えないやつですね。そしてこんな状況、二度と来てほしくない(´・_・`)

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…どうでもいいんですけど、私、デジタル作画で下描きレイヤーを一番上に置くんですよ。実際のペン入れ時は、下描きの不透明度を下げて、描いている線が見えるようにしてるんですけど。なぜかそのほうが描きやすいんですよね。

画像は、青の線がネーム、ピンクの線が下描きです。

ネーム線や下描き線は珍しいのではないかと思い、そちらで画像作ってみました。